学園長出谷が、片づけなさいと叱られる息子(何なら自身も・・・)を見て思ったことを書きます。
熱力学には基本法則が3つありますが、そのうちの第2法則がエントロピー増大の法則と言われるものです。高校の物理で習います。これは、放っておくと(特別に何かをしない=エネルギーを加えない限り)ものごとは乱雑な方向に向かう、と言う法則です。例えば、コーヒーに入れた牛乳がコップ全体に広がって混ざりあったり、スープに溶かした塩が鍋全体に広がったりという事です。
逆に、あるもの(気体をイメージしてもらうとイメージしやすいかと思います)をそこにとどめておくためには、相応のエネルギーが必要という事です。
石油が無くなる!エネルギー危機だ!と長い間言われていますが、これはどういうことでしょうか?中学3年生で「エネルギー保存則」を習いますが、形や持ち主が変わっても、エネルギーの総量は変わりません。つまり、エネルギーが無くなっていっているわけではないのです。
ここで「ギブスの自由エネルギー」という聞きなれない単語をもう一つご紹介します。これは読んで字のごとく、「自由に使えるエネルギー」ということで、使いやすいエネルギーという事です。例えばガソリンを燃やせば車を走らせられますが、これはガソリンが持っているエネルギーが「使いやすい」ので、車を走るエネルギー源に出来るという事です。一方、摩擦熱や車体を温める為に使われてしまった熱は使いにくいエネルギーです。これは温めた空気を集めても何かを動かすことが難しいためです。
長々と書きましたが、エネルギー危機と言うのは人間が好きに使えるエネルギーが無くなっていっている!という事なのです。
最後にエントロピーと自由エネルギーの関係を。エントロピーが増大するとギブスの自由エネルギーが減少します。つまり、おもちゃを片づけて散らかして、片づけて散らかして・・・を繰り返すと、片づけたおもちゃが散らかるたびに自由エネルギーが減少していくのです。そしてそれは片づけるときにも起こっています!
ですので、一旦散らかったおもちゃは散らかしっぱなしにしていた方が自由エネルギーを節約できる訳で、地球に、宇宙に優しいのです。
・・・これで片づけなくても良いとなるかどうかは分かりません、というかそうはならないと思いますが、お母さん/お父さん/旦那さん/奥さん が機嫌良さそうな時に言ってみてください。片付けなさいと言われる回数が減るかもしれません!