子ども達の「夢」としてあまり上位に挙げられないサラリーマン。生徒たちと会話していても(大抵何のために勉強をするのか・・・と言った話の流れで出てくるのですが)その魅力が子供たちに十分に伝わっていないと思う事が良くあります。今回はサラリーマンという仕事の良さについて書きたいと思います。
サラリーマンの魅力として、大きな組織に属するという「安定」は誰もが認めることではないでしょうか。
病気になっても誰かがカバーしてくれますし、収入が大幅に減ることもまずありません。手厚い福利厚生もあります。
一方で「夢」がない、とか、スポーツ選手やyoutuber の方が一攫千金を狙える、という声をよく聞きます。
が、これは大きな間違いです。 国税庁のデータによると、1億円以上稼いでいるサラリーマンが8000人以上いるようです。
これがスポーツ選手になると、プロ野球選手で70人ほど、Jリーガーで10人と少しになります。
youtuber に関してはあまり信頼性の高い情報は見つけられませんでしたが、20人いるかどうかというところのようです。
サラリーマンの方は圧倒的に母数が大きいので比率にすると低くなりますが、スポーツ選手やyoutuberはなるためのハードルが圧倒的に高いため、比率での比較はできません。
間違いなく言えることは大金を稼いでいる人の数はサラリーマンの方が圧倒的に多いという事です。
しかも、スポーツ選手やyoutuber は日本で数十番、数百番という順位に入らないとまともに生活も出来ない一方、3500万人ほどいるというサラリーマンの世界ではこのような最上位を目指さなくとも良い生活を送ることができます。
私出谷もかつてサラリーマンをしていましたが、唯一の欠点であると感じていたのが「自由」です。
大きな組織の一員として働く以上、働く場所や働く時間、仕事の内容を選ぶことはできません。
人によってはこれらがネックになることはあるかと思います。
かつては会社の為なら個を犠牲にするのは当たり前という風潮もありました。
私としては、仕事内容を選べないのは当然だと思っていましたが、単身赴任で子供に会えなくて寂しいという先輩を見ていて、場所を選べないことには大きな抵抗を感じてしまいました。
上述の通り、youtuber やスポーツ選手、芸術家、職人さんなどは日本や世界のトップレベルで戦えなければそれだけで生活ができません。
日本で数十番と言えば、東大を首席で卒業するレベルです。
一方で、勉強では日本一を目指す必要がありません。東大・京大・阪大だけでも毎年1万人近く入学しています。同い年の中で数万位という順位であっても旧帝大ほか、最難関と言われる大学に入れます。
そして、サラリーマンに限らず幅広い将来の選択肢から卒業後の進路を選択できます。
何のために勉強をするの?と聞かれたとき、勉強してお医者さんや一流のサラリーマンを目指す、それが一番優しい道だから、と私は答えます。
もちろん、多くの選択肢の中から他の道を選ぶのは大いにアリだと考えます。
ただ、選択肢がなくて否が応でも厳しい戦いに巻き込まれてしまうということは避けるべきです。そのような思いから、私は勉強を頑張れと子どもたちに伝えています。