志望校の過去問は最良の問題集です。このところ、過去問をしっかり解き込んだ人が有利になるような出題に向かう流れもあるようです。ではいつから過去問を解き始めれば良いのか?その時期の決め方について書きたいと思います。
過去問を解く目的は主に3 つ、① 志望校の出題形式や問題レベルを知ること、② 自分の実力をチェックすること、③ 実際に出題された問題から解法や考え方を学び取ること、です。
① について、大学ごとに個別試験の出題形式は様々です。解答時間や問題数、小問集合の有無、(英語であれば)文法問題の有無など、確認しておきましょう。受験勉強を進める上で最終地点を知っておくことは大切なので、勉強の進み具合によらず、①を目的として遅くとも受験生の夏のうちには一年分は解いておきたいです。
② について。ほとんどの人がまずは分野ごとに分かれた基礎的な問題集から受験勉強を始める訳ですが、それにより最終目標である入試問題が解けるようになっているのか、都度成果を確認しておきたいです。知識はついたけれど実際に解ける問題が増えているのか?普段の勉強方法やテキストの選定・使い方は間違っていないのかということを確認するためにも、定期的に(2週間~1カ月に1 回程度)実戦問題を解く機会を作りましょう。受験生になると模試も増えてきますので、過去問の代わりに模試を利用しても構いません。
③ について。これが過去問を解く最終かつ最大の目的となります。特に難関大学では個別試験が難しいので、過去問を解く事自体が良い勉強になります。大学ごとに頻出分野も異なります。特に、「入試過去問活用宣言」に参加している大学においては過去問を解く重要性が増しています。実際に2024年度の入試において埼玉大学の英語で過去問と全く同じ問題が出題されています。今後このような流れが他大学にも伝搬していく可能性もありますので、過去問はしっかりと解き込んでおきましょう。
過去問を本格的に解き始める場合、一番の目的は上記③になります。しかし、この目的を考える場合基礎が十分に固まっていない状態で難問を解いても意味がありません。網羅的に知識を得たり、練習をしたりという目的の場合、難易度が高く、ランダムな出題で問題数が少ない過去問よりも市販の問題集の方が有効であるからです。
周りが解き始めたから、宿題で(全員に向けて)出されたからなど、あいまいな理由で解き始めることが無いようにしましょう。現役生は準備が遅れがちです。12月は共通テスト対策が中心になることを考えると、過去問を本格的に解き始めるのが共通テスト明けになるという方も珍しくはありません。それでも、共通テストから二次試験までの40日ほどの間で20年分は解けます(復習をしながらでも、2日で1年分くらいのペースが可能です)。早い方が良いことに間違いはありませんが、焦りすぎることのないようにしましょう。
どんな勉強にも言えることですが、目的をはっきりさせて取り組めば同じことをしても効果が大きくなります。知識を得ること?思考力を養うこと?反復練習? 指示された宿題であっても、その意図や意味を理解して取り組んで効果を最大化しましょう!