京大生による完全個別指導 神戸本山学園

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私が京大を目指した理由(大学院工学研究科2回生 A先生の場合)

2023年12月21日
    • 大学院工学研究科2回生のA先生が、京大を志した理由をご紹介します。 A 先生は今年度で修士課程を卒業しますが、大学に残り博士課程への進学を決めています。

      私が京大を目指した理由(大学院工学研究科2回生 A先生の場合)

      工学部か農学部か医学部か

      私は現在、京都大学大学院の工学研究科で大学院生として、将来は研究者になることを目指して研究に取り組んでいます。
      学部時代は、京都大学の工学部の物理工学科に所属していました。
      私が志望校を京都大学の工学部に決めたのは、高3になる春休みのことでした。高3からの塾の授業を選択するという段階でした。
      私の中では、京大の工学部か農学部か、国公立の医学部か、で最後まで悩んでいました。京大の理系学生ならよくある悩みなんじゃないかなあとは思います。
      私は高校の時から理科や数学は好きで、それらを突き詰めていける理系学部に憧れを抱いていました。また高校生の頃特有の思い(悩み?)として、将来、自分の技術や自分の作ったもので社会に何かしらの影響を与えられたら、何か自分の生きた意味が生じるのかなというようなことをぼんやりと考えていたというのもあります。
      そのような理由から、技術で社会を支えるという工学部や農学部と、医術で目の前の人を救うという医学部が選択肢としてぼんやりと浮かんでいた状態でした。
      ただ、そのようなあいまいな思いはあるものの、実際に何をやりたいのか、といった具体的なことはあまり想像もついておらなかったのも事実です。

      工学部(物理工学科)に決めた2つの理由

      自分が進路を決めるにあたって考えた点は2つあります。1つ目は、自分の存在が影響を与えられる対象の大きさで、2つ目は将来の選択肢の幅です。
      1つ目の理由から、将来は研究者となることを決めました。当時の私は、理系の主な将来像として、医者、技術者、研究者という大まかな3つをイメージしていました。
      その中のどれになりたいのかを考えるにあたって、それぞれが影響を与えられる対象の大きさが1つ目のポイントでした。
      親や周囲の人の勧めもあったので、まずお医者さんについて検討してみました。
      そこで考えたのは、お医者さんは目の前の困っている人を救ってあげられるかもしれないが、自分が救える人数には限りがあるよなあということです。お医者さんになって、例えば仮に1日100人救えるとして、1年300日働くとしたら1年で3万人、50年働いたとしたら、150万人です。
      結構多めに見積もった気がしますが、高校生の私はこれでは満足できませんでした。
      その一方で、乗り物や電子機器、医療機器というような、社会でみんなに使われているものを開発したり、そのもとになる技術を研究したりという方が、与えられる影響は大きいよなあと思いました(例えば、世界では1年間に8000万台以上の自動車が売れるらしい*です、桁が違いますね)。
      このような観点から、私は社会で使われるものを作る人を志しました。その中でも、1つの製品ではなく、基盤となる技術の研究をする人になりたいなあと思いました。そちらの方が与えられる影響が大きそうだったからです。
      (もちろんお医者さんなども十分すぎるくらいすごい職業だと思います。医学部に行った友達もたくさんいますが、今でも憧れはあります。ただ私の好みがこっちだったというだけの話です。)
      研究者を目指すと決めても、工学・農学・医学といったように研究分野は幅広くあり、それから選択していく必要があります。
      しかし、当時の私には何をしたいという明確なビジョンはありません。
      そこで考えたのが、選択肢を多く残しておくべきだということでした。当時の知識と経験ではこの分野だと決めるにはまだ早すぎると思ったからです。その観点で見ると、自分の考えていた工学部・農学部・医学部のなかでは工学部が一番分野の幅が広そうだと考えました。
      その工学部の中でもさらに学科を選ぶ必要があります。私は物理工学科を選択しましたが、これは工学部を選んだ理由と同様で、物理工学科の扱っているテーマが幅広いという理由からでした。実際、車やロボットなどの機械系から、エネルギー系、材料系、情報系やバイオ系といったふうにかなり広範にわたっています。実際に大学に入り、大学の先生の話などを聞いた上で選択ができるという点に魅力を感じました。
      このような理由で私は京都大学の工学部物理工学科を選択し、研究者を目指すことになりました。
      現在は京都大学の大学院の、研究者を養成する5年間の課程(博士課程)で研究に取り組んでいます。
      いわば研究者見習いのようなものです。進路決定の時期の私はなんかでかいことをしたい、くらいのぼんやりとした気持ちしかありませんでした。
      それでも、多少考えの変化はありましたが、根本的なところは高校生の頃の思いと変わらずにやれているのかなと思っています。
      そもそも高校生の段階でやりたいことが明確になっている方が珍しいはずです。
      まずは、自分が将来どうなりたいのか、についてかなりぼんやりでもいいのでイメージしてみるのが大事だと思います。
      その後、そのイメージを実現する方法は具体的にどんなものがあるのか、その中で自分がやりたいことに最も近いのは何か、
      何が一番面白そうか、という感じで考えていけば、自ずと選択肢が見えてくると思います。
      悩みの多い高校生、将来について考えるのはなかなか骨の折れる作業ですが、進路決定にあたってはよくよく悩んでほしいな、と思います。

      * 一般社団法人日本自動車工業会, 「世界生産・販売・保有・普及率・輸出」, https://www.jama.or.jp/statistics/facts/world/index.htm